2010/08/31

序曲 アンダンテ・カンタービレ

音楽をもっと愛し、感動し、感動させるには

 これは音楽を通しての、自分の精神分析作業、と言っても良いのでしょう。きっとこの本を読まれる方は、一人の人間としての著者が、どのように音楽という人類の最高の知的財産と関わって、その人生を形成し、豊饒にし、送っているかを興味深く観察できることと思います。

 音楽というジャンルは、実に広大な地平線、水平線を持つと共に、高い頂きと、深い谷を有していることはいうまでもありません。だからこそ日々世界中で各種のコンサートが多数行われ、世界中で巨大な音楽媒体(レコード、CD、DVD・・・)が巨大な枚数を売り、あらゆる場面で音楽が用いられ、人々の心を捉えているのです。
 
 世界中にどの位の音楽学校があるのでしょうか。どの位のコンサート会場があるのでしょうか。ヨーロッパの多くのオペラハウス、コンサートホール、ブラジルのマナウスのオペラハウスや、ブエノスアイレスのコロン劇場や、シドニーのオペラハウスなど大変な数です。又、今迄どの位楽器が作られ、どの位演奏会がなされてきたのでしょうか。アマティ、ガルネリウス、ストラディバリウス、シュタインウェイ、ベヒーシュタイン、ベーゼンドルファー等など。おそらく天文学的に巨大なものとなっていることでしょう。まさに、音楽は人類の主たる活動の一つであり、人類の生み出した優れた知的遺産なのです。私が、この本で描き出してみたいことの一つは、私という一人の人間と音楽の関わりを通じて、人間と音楽の関わり方の素晴しさを描いてみたいのです。

 又、一人の人間の一生と人類の一生との間には、かなりの部分で共通性を有している、と言われます。それは、人類の音楽との関わり方と、一人の人間の音楽との関わり方との間にも、必然的に強いアナロジーが存在することを物語っています。

 何よりも、音楽という芸術ジャンルは、〝人間が考える葦〟であり「言の葉」
を操る動物であることに、深く関わっているのです。この点は本文で詳しく論じるので、ここでは詳しく触れませんが、「人間の知的発達と音楽の発達とは深い関係がある」との認識をまずしっかりと持っていて欲しいのです。
 まさに、私の知的発達と音楽とは深い関係にあるようですし、私のクラシック好きも、私の生活史や、あるいはDNAと深い関係にあるのでしょう。

 いずれにしても、この本の中で扱っていくのは、音や音楽と人間、あるいは人類の関わりなのです。何故こんなことを考えることが意味を持つのでしょうか。それは、素晴しい音楽と音楽の教養は、人生を至福にして、素晴しくしてくれるからです。そして、その至福の音楽を我々に提供してくれる音楽家は、様々に人生経験を有したり、深い人生への解釈を有している人達だからです。

 モーツァルトやリストといった音楽家を見ていると、天才の本分で、何苦労なく、本能的に音楽を造り上げてきたかのようにみえますが、彼らは、音楽そのものの訓練を通して、先人の様々な努力、思い、知識を素晴しく獲得していったと考えられるのです。私は、音楽の中には、人類の偉大なる知的遺産が詰まっているのです。「それを味あわない手はありません」と、考えているのです。
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